台北桃園空港から空港バスにのり、約1時間で台北駅の東側にある、バスターミナルに到着した。
台北駅はバスの最終目的地であり、乗客は全員ここで降りる。
私は、バスに乗れて安心してしまったのか、クーラー心地よさと早朝からの疲れで熟睡してしまっていた。
せっかくの景色を楽しむことなく過ごしてしまった。
気持ちよく寝に入っていると、周りがざわざわして席を立ち始めた。このことで「ここが台北駅なんだ」とわかり、みんなが降りるその流れであわてて自分もバスを降りた。
バスの音声案内もないとの事だったので、日本を出発するまえに、台北駅周辺の景色をぐるりと頭の中にいれておこうと思い、Googlemapでチェックしておいたが、そんな事は寝ぼけてぶっ飛んでいた。
あわててバスを降りながら、バスの横腹に入れたスーツケースを受け取ろうと、ポケットからバゲージタグを取り出すが、自分のスーツケースを入れて3つしか残っていなかったので、タグはいらないと係員の兄さんに言われた。
それにしても暑い。
陽射しが強い。
身体中の汗腺が一気に開きだし、南国へ来たとひしひしと体感する。
早く構内に入ろう。
ごろごろとスーツケースを引きながら、ガラス扉を開けて駅構内に入ると、ひんやり。
少しほっとした。
そんなものもつかの間、行きかう人々の多さに、圧倒された。
構内でベンチに掛けて楽しく話しをする老夫婦や、流行りのスウィーツのお店にならぶ若者たち、新幹線でちょうど今帰って来たのか重そうな荷物をたくさん抱えたビジネスマンなど、活気に満ちあふれていた。
そんな人々をかきわけ、まっすぐ行くと、吹き抜けのホールにでる。だだっ広いホールで、冷たい石の床の上に直に座って本をよんだり、何か食べている人、はたまた横になって眠っている人もいた。
電車の時間に合わせて、時間調整をしているのだろうが、少し前の日本もこんな風景であったに違いない。
台北駅が台湾の中心駅であるように、東京駅が日本の中心駅と考えると、こんなのどかな状況は考えられない。
沢木耕太郎の深夜特急に出てくるインドの地方の田舎駅を思い出した。小説の中では、夜に近かったので、主人公が野宿をしてしまうが、そんなことも可能であろうと思った。
外が蒸し暑いので、近隣の人が涼みに来ているのもあるのかもしれないと思った。
そんな感慨にふけっている時間はない、せっかく早い便で来たので観光に出発しなければいけない。
今回は、Airbnbを利用してみたので、ホテルのようにチェックインの時間までスーツケースを預かってくれないので、コインロッカーに預けようと思っていた。